熱の伝わり方 <対流について> | NK建築工房株式会社

熱の伝わり方 <対流について>

前回に引続き、熱の伝わり方をご説明します。
今回は「対流」について。

主に、空気や水などが流れることにより熱が伝わる。
この熱の伝わり方を「対流」と呼びます。

毎回料理を例に出しますが、ヤカンの下の部分だけを熱する。
下部だけが高温になるにも関わらず、実際にはヤカン内部のお水が
最終的には同じ温度で沸騰する。

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熱い流体が上昇し、温度の上がっていない水面と混ざり合い
結果として全体が同じ温度上昇となる。

コンロの上のヤカンと違い対流が滞ると温度の移動が固定され
熱い水(お湯)が上に、冷たい水が下に。
一例として少し時間が経ったお風呂の湯船を想像して頂くと分かりやすい。

お住まいの中で流体を言えば空気。
対流についてしっかりとイメージし空気をデザインを行う。
この作業が必須となる。

話を少し横道に逸れますが、、
断熱に関しては、前回ご説明した「伝導」だけでは意味をなさない。
空気のデザインは多岐にわたりますが、一番イメージしやすいモノは「気密」。

サッシをアルミから樹脂に変更し、断熱材を厚くすれば熱の伝導は抑えられますが
気密が疎かになれば全てが台無しになってしまう。

厚手のコートを着ていても、ボタンを全て外してしまっていては暖かくならない。
また、ボタンを締めていてもコートに穴が空いていれば同じ。
ただし、お住まいはコートと違い空気穴もなく完全に密閉してしまうと
窒息してしまう。

適切に給気を設け、適切に排気を行う。それは空気をデザインするという事。
断熱とは切っても切れない関係があり、どちらが疎かになっても意味をなさない。
そして給気 ⇒ 排気の間に無駄な穴が空いていると、空気のデザインが阻害される。

ストローに穴が無数に空いていると飲み物が上手く飲めない事と同じ。
飲み物も空気も同じ流体です。
人間の口が飲み物の終着点であれば、空気の終着点は換気口。

設計通り空気を換気口に導くには無駄な穴は極力減らすべき。
高断熱には高気密な施工が必要だという理由はそこにある。

しかし、むやみに気密工事だけを行えば窒息住宅が出来上がってしまい
住み心地は決して良くならない。

対流についてしっかりと答えられない建築は高断熱を喧伝しても無意味です。
新しいお住まいをご検討なさる時は、ハウスメーカー(もしくは工務店)の担当者に
「断熱は分かりますが、空気についてはどうお考えですか?」と聞いてみてはいかがでしょうか。

ボタンの全くないコートはオシャレかもしれませんが、、
そこに暖かさや安らぎはありません。

「伝導」だけでなく「対流」を熟考することこそ住み心地が良い、
本当に必要な高気密・高断熱工事です。

岩城直樹